伊藤錬さんが若者に伝えたいこと ―「AIの登場によって、アイデアがより重要に」【インタビュー】

 本ページに掲載している内容は、2026年3月27日時点の情報です。

 東京都は、令和7年度、新たな価値や課題解決を創造し、日本や世界の成長・発展を牽引していく人材を輩出することを目的に、第一線で活躍するグローバルリーダーへのインタビューを中心とした調査を実施しました。 本記事では、調査報告書の中から伊藤錬さんへのインタビュー内容をご紹介します。

INTERVIEW
VIDEO

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伊藤錬さん
PROFILE

Sakana AI 共同創業者 COO 伊藤 錬

 Sakana AIは、進化や集合知などの自然から着想を得たアプローチで最先端のAI基盤モデルを開発・提供する日本発のAIスタートアップ企業。 東京を拠点に日本最速でユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)へと成長。元GoogleのAI研究者であるデイビッド・ハ氏、ライオン・ジョーンズ氏と共同創業。自身はCOOとしてビジネス全般、組織運営、資金調達などを担う。

CAREER
 
 
1978年
生まれる
 
2001年
東京大学法学部卒業
外務省入省
 
2004年
ニューヨーク大学ロースクール修士課程修了
 
2005年
スタンフォード大学東アジア研究所修士課程修了
在米国日本大使館
 
2007年
北米局日米安全保障条約課・日米地位協定室
 
2008年
総理大臣通訳官兼任
 
2011年
世界銀行(ワシントンDC)
 
2015年
メルカリ執行役員(グローバル事業担当)
 
2022年
英 Stability AI COO
 
2023年
Sakana AI 共同創業

 

日本がリードする新たな時代へ。
AI開発において世界に新たなインスピレーションを与えたい。

「進化的モデルマージ」※1や「AIサイエンティスト」※2など、これまでにない発想でAI基盤モデルの開発に取り組まれています。

 私たちは、新しいAI基盤モデルを創っています。アメリカでは何にでも使える汎用型のモデルが主流です。それは幅広く使える一方、どうしても広く浅くなりがちで、そこでは拾いきれないマーケットやソリューションがあると考えています。例えば、ChatGPTに銀行のデータを全部入れれば、住宅ローンの審査ができるかというと、今のAIでは技術がどれほど進化してもできないでしょう。私たちはそのできないことに対し、新しいAIを創ってどうアプローチできるかを探ることに意義を感じています。日本にはさまざまな社会課題があり、本当に「役に立つ」「面白い」と実感できるユースケースを生み出したいと思ったのです。

※1 進化的モデルマージ:多様な能力を持つ幅広いオープンソースモデルを融合させることで、新たな基盤モデルを構築するための方法。
※2 AIサイエンティスト:LLMを用いて、研究開発プロセスそのものを自動化する技術。

 

― なぜ、アメリカではなく、日本を創業の地に選んだのですか?

 よくいただく質問ですが、理由はいくつかあります。中でも大きいのは、日本がAIにとって非常にユニークで重要な立ち位置にあるという点です。現在、AI開発の中心地は米国西海岸と中国ですが、開発手法の多様性を保つためにも、そこから距離を置く必要があります。なぜなら、米国西海岸では「モデルを大きくする」方向に全員が進んでいる中、「小さくする」逆張りのアプローチを取るのは、現地の引力に呑まれてしまい難しいためです。

 私たちは、アメリカ式に広く浅く展開するのではなく、例えば、日本の特定の銀行や証券会社と深く連携し、極めて日本的なスタイルで高度なAIソリューションを提供しています。一方で、日本発の企業でありながら、創業当初からグローバルな競争力を持つことを重視し、創業者はもとより、投資家の半数以上は海外で、社内のエンジニアも約半数は海外出身者です。資金調達はアメリカ式のグロースモデルを採用しつつ、開発は日本で行っています。つまり、日本の強みと海外の強みを融合させた形で、 会社づくりを進めています。

 

「格好いい、クール、楽しい」
ただ惹かれて続けたことが、今の自分の芯になっている。

― 学生時代に役に立ったこととして、一般教養を挙げています。

 東大の教養学部が精魂込めて作った「知の技法」という教科書があります。「なぜ一般教養を学ぶのか」という問いにさまざまな角度から答えようとする一冊で、ベストセラーにもなりました。もう読んだ瞬間から、「なんて面白く、格好いいんだ」と思いました。もともと勉強が好きなわけではありませんが、そこに広がる世界観に強く惹かれました。

 若い頃は、「格好いい」「クールだ」と思えるものに自然と惹かれるものです。私にとって、駒場での2年間がまさにそうでした。哲学、科学、比較文化論など多様な分野に触れ、「シェイクスピアとスター・ウォーズの関係」 や「中世ヨーロッパの都市構造が現代にどう生きているか」といったテーマを考察する。そうした知的世界の広がりに、好奇心が刺激されました。

 それまで世界史や地理は好きでしたが、あくまで「お勉強」の域を出なかった。しかし駒場では、どの科目も面白く、どれも好きでした。「学問する」ことの面白さに出会えた時間だったと思います。

 

― 他に、塾講師や旅行も役に立ったと伺いしました。

 塾講師や旅行も、単に面白く、好きだったというだけです。特に塾講師は、自分にとってはサークル活動のような感覚で、本当に楽しかった。教材を作る、教える、生徒の相談に乗る―そのすべてのプロセスが面白くて、講義は週1回3時間でも、そのために準備し、添削にも力を注ぐ。時給は3時間分でも、毎回その何倍も働いていたと思います。趣味だからこそ、 苦にならなかったのです。もちろん旅行に行くのも楽しかった。

 当時は、それらが将来の役に立つかどうかなど考えていませんでしたが、振り返ってみると、それぞれが今につながっていると感じます。教養学部の授業は、知的好奇心の原点になりましたし、塾講師の経験は、コミュニケーションやプレゼンテーションの力を育ててくれたと思います。旅行についても、世界を巡る楽しさを知ったことで、「仕事をするなら、変わった場所に行ける仕事がいいな」と思うようになったのかもしれません。

 

社会人としての最初の職場が、
その後の行動原理や価値観に大きく影響。

― 今のご自身の行動原理や価値観はどのように培われましたか?

 行動原理で言うと、「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、特に社会人として最初にどこで働いたかが、その人のキャラクターに与える影響は大きいと思います。もちろん、小中高や大学時代にも人格は形成されますが、自身を振り返ってみると、新卒での所属先がその後の価値観や仕事観に深く根を下ろしているように感じます。

 私は外務省でキャリアをスタートしましたが、友人にはコンサルティングや外資系投資銀行、研究者など、さまざまな道を選んだ人がいます。その後、転職を重ねたとしても、最初の職場で培われたスタイルや思考は根本的に変わらないと感じます。私も、仕事の進め方や達成したいこと、何に幸福を感じるかといった価値観は、今も外務省時代のままだと思います。

 

― 外務省時代の行動原理や価値観を具体的に教えてください。

 外務省の行動原理は、徹底した情報収集にあります。外交官、特に海外の大使館勤務では、ジャーナリストと同じように現地の動向を追い、トレンドを把握することが求められます。私自身、ワシントン駐在時は特派員と同様に、ホワイトハウスからどれだけ価値ある情報を引き出せるかが勝負でした。

 その情報は、「公電」と呼ばれる電報として東京に送信します。世界のどの大使館よりも早く、誰も知らない重要な情報を届けるという、まさに競争であり、私にとっては非常にエキサイティングな仕事でした。

 そのためには、信頼されるネットワークを築き、意味のある会話を重ね、「こいつは面白い」と思ってもらう必要があります。その分野の勉強もしなければいけないし、「この人は信頼できそうだ」「あの人は信頼できそうにない」といった嗅覚も必要です。全体のトレンドを読み取り、そこから誰もが引き込まれるような面白いストーリーを作り上げていく、まさに総合格闘技のような仕事だと感じています。

 

情報を集め、対話を重ねながら、進むべき方向を見極める。
粘り強く聞くことで、理解が自分の言葉になるまで深める。

― 現在、Sakana AIでは、外務省時代の行動原理がどのように反映されているのですか?

 私は月の半分をロンドン、残りの半分を東京で過ごしながら仕事をしています。ロンドン滞在中は、ヨーロッパ各地のユニコーン企業の創業者たちと、ほぼ毎晩のように食事を共にします。自宅に招き、お寿司を振る舞いながら深夜まで議論を交わすこともあります。ロンドン、パリ、ベルリンなどから集まる起業家たちと、「今、何がトレンドなのか」「創業者たちは何を考えているのか」といったテーマで話し合っています。

 いい話をこちらからトスを上げて向こうに語ってもらう。そして、何が本当の今のAI業界の強みで、課題で、トレンドなのかを見極めます。得られた情報は、毎晩のように今でも外務省スタイルの電報をSakana AIの同僚たちに打ち込み、議論を通じて方向性を探ります。現場の声をもとに、次の一手を考える日々です。

 

― ご自身は文系出身ですが、最先端の技術領域にどう向き合い、理解を深めていったのでしょうか?

 確かに、私は社内でも数少ない文系出身者です。エンジニアではないため、技術の本質を完全に理解するのは難しい部分もありますが、そこはとにかく「聞く」ことで補っています。社内の最先端のエンジニアやリサーチャーに「今、何をやっているの」と問いかけ、1日に何時間も、分からない話を分かるまで聞き続けます。「それってこういうこと?」と自分の言葉で確認しながら、「物分かりが悪い」と思われつつも、粘り強く食らいついていく。そうしてようやく、自分の言葉で語れるようになっていきます。

 私の感覚では、エンジニアと10時間話して、ようやく人前で1分語れるネタが見つかるというイメージです。エンジニアはエンジニアの言葉で話すので、私は投資家や顧客に伝える際の「通訳」のような役割を担っています。私が30分の講演をするためには、「お前は何でこんなことも分からないんだ」とエンジニアたちに怒られる300時間があるわけです。

 

首脳会談の通訳では強い重圧の中で瞬時に判断を迫られ、
外交官として「知識・感度・判断力」のすべてが試された。

― ご自身にとって、成長のきっかけとなった経験は何ですか?

 30歳の頃、日本の総理大臣と米国のオバマ大統領による首脳会談で通訳を務めました。外務省の仕事には政策立案やデスクワークもありますが、現地での情報収集や、国家のリーダー同士の対話を支える通訳も重要な役割です。特に1対1の会談では、通訳のプレッシャーはもっと高まります。

 通訳は単なる翻訳ではありません。両首脳の発言の背景にある政治的文脈や意図を理解し、適切な表現で伝える必要があります。なぜこの言葉を選んだのか、どの表現が最も効果的なのかを瞬時に判断しなければなりません。日々の電報等あらゆる情報を読み、それを咀嚼し優先順位を意識しながら、知識を集積していかなければならない。さらに、首脳同士の会話が盛り上がらないといけないので、味気のない通訳はできません。

 加えて、会談後には「日本の総理大臣と米国の大統領が何を話したのか」を関係者にブリーフィングする役割もあります。その要点をつかむブリーフィング力も大事なことです。通訳とは知識・感度・判断力すべてが試される、まさに外交官としての総合力が問われる舞台だと感じています。

外務省時代、日米首脳会談で オバマ大統領(当時)と握手する伊藤さん

外務省時代、日米首脳会談でオバマ大統領(当時)と握手する伊藤さん

日米、米中の架け橋として活躍した
3人のロールモデルの存在。

― ご自身にとって、ロールモデルやメンターの存在はありましたか?

 2003年から2年間の留学を経て、2005年から2007年までワシントンの日本大使館に勤務しました。その大使館勤務を通じてお知り合いになった阿川尚之先生と村瀬悟先生は、私のロールモデルでありメンターでした。

 お二人とも日米関係をご専門とする弁護士で、阿川先生は日本人、村瀬先生は日系アメリカ人ですが、それぞれが日本とアメリカの架け橋として活躍されてきた方々です。私自身も大学では法学部に進み、留学先もロースクール、弁護士資格を取得するなど、リーガル業界に身を置いてきました。その意味で、お二人は私にとって仰ぎ見る存在であり、キャリアの節目で何度も相談に乗っていただいたメンターでもあります。リーガル業界の重鎮でありながら、「弁護士になるべきか」「外務省を辞めるべきか」といった私の悩みにも親身に耳を傾け、多くのアドバイスをいただきました。お世話になっただけでなく、日米を軽やかに行き来しながら活躍される姿は、まさに私の人生のロールモデルです。

 さらにもう一人、ジェローム・A・コーエン先生も、私の憧れの存在です。米中関係の第一人者であり、外国人として初めて北京にローファームを開設したアメリカの法学者です。ニクソン訪中時のメモ作成、中国法研究の大家としての業績、人権活動家の保護など、米中の間に立ち続けた方でした。厳しい姿勢を貫きながらも、中国側の声にも耳を傾ける誠実な姿勢に、深い敬意を抱いています。留学時代の修士論文の指導教官であり、その後も家族ぐるみのお付き合いを賜りました。私がスタートアップに身を投じてもなおアカデミアでのキャリアを継続すべきだと、ニューヨーク大学のフェローとしての道筋を残してくださったのもコーエン先生です。台湾ほか中国語圏への出張にご一緒するなど毎年定期的に彼の事業をお手伝いし、2025年9月に95歳でお亡くなりになるまで、公私ともにまさにメンターとして多くの教えをいただきました。

 

「自分の人生は自分で決める」
これだけは我慢してはならないと考えた。

― 外務省からメルカリへとご転身された理由について教えてください。

 「どれだけ自分の人生に正直でいていいのか」という問いは、今の時代において重要なテーマだと感じています。どこまで我慢すべきか、どこまで自由に振る舞うか、その線引きは人それぞれです。

 外務省では議事録作成や国会答弁の修正など、一見地味な仕事でも、振り返れば我慢して取り組んだことが糧になっていたと感じる場面は多々あります。組織で働くことの美徳の一つは、与えられた役割を受け入れ、偶然の巡り合わせを成長の糧にすることにあります。自分で選ぶと好きなことばかりになりますが、他人に選ばれることで新たな視点や経験が得られたことも確かです。

 しかし、30歳を超え、所属先の人事政策と自身のキャリアパスの方向性のズレに直面しました。悩みに悩みましたが、「自分が好きなことに正直であるべきだ」「自分の人生は自分で決める。それだけは我慢すべきではない」と考えました。新たな道に目を向けようとしていたところ、高校時代の同級生から、創業間もないメルカリに誘いを受けました。ホワイトハウスからテック業界へと大きく舵を切った多くのアメリカの友人たちの存在も、私のこの選択を後押ししました。

 当時のメルカリはスタートアップですから、毎日新しいことが起きて全く飽きませんでした。国内市場を伸ばし、海外展開をして、社会的なインフラとなれるよう上場する。もちろん山あり谷ありで苦しいこともありましたが、自分もさまざまな経験ができましたし、多くの学びがありました。

 

― 新しい世界へ飛び込むことへの不安はありませんでしたか?

 外務省からメルカリへ移った途端に連絡が途絶えた人が、メルカリの上場からわずか3時間後に突然メールをくれた、という出来事もありました。肩書があるからこそ関係が続いていたのだろう、と頭では理解していても、実際に無視されたり軽んじられたりすると、やはり悲しさを覚えます。不安がなかったわけではありませんが、「食いっぱぐれることはないだろう」と思って決断しました。「長期的にはなんとかなる」、そう信じて進んできました。

 

自立した人間力は、その時々の学びの機会に
真摯に向き合うことで養われる。

― グローバルリーダーに必要な能力・スキルとして、自発性、柔軟性、ストレス耐性、状況把握力、そして交渉力といったことを伺っています。

 これらに共通して言えるのは、1対1の関係になったときに、相手から「この人は面白い」と思ってもらえるか、そして「本音で話し合える関係」を築けるかどうか、という点です。結局のところ、自立しているかどうかが問われるのだと思います。私自身もまだ発展途上ではありますが、心がけているのは、そうした力を備えていれば、「話したい相手」「話すに足る相手」と思っていただけるのではないか、ということです。そのような力こそが、人間関係の構築に直結するのだと感じています。

 

― 「この人は面白い」「話したい相手」と思われるようになるためには、どのような経験が必要だと思われますか?

 最近、世間で一般的に言われていること、例えば「学生時代にインターンシップを経験すべきだ」といった意見については、必ずしも正しいとは思えません。大学を卒業すれば、否応なく社会人になるわけですから、その時々の環境が提供してくれる機会に取り組むことにむしろ価値があるのではないでしょうか。学生であれば、一般教養や科学、哲学、さらにはシェイクスピアのような古典に触れることが大切だと思います。

 もちろん、海外で活躍することだけがすべてではありませんが、例えば、ロンドンでの会食の場で、数年早く社会人の真似事をしたという学生時代のインターン経験が話題として面白いかと言えば、必ずしもそうではないと思います。リベラルアーツという言葉はやや陳腐に響くかもしれませんが、幅広い教養を身に付け、そうした話題を語れる人材こそ必要だと感じています。その時々、その場その場で、深く学べることは数多くあるのです。

 

大きな影響を与えてくれたロールモデルやメンターの存在。
若者にはさまざまなロールモデルを見せる機会が必要。

― 若者のチャレンジ精神や積極的に世界と関わる姿勢を育むにはどうすればよいとお考えですか?

 やはり大きいのはロールモデルやメンターの存在だと思います。私自身も独力で将来像を描けたわけではなく、阿川先生、村瀬先生、コーエン先生のような方々をロールモデルとしてきました。そうした先生方に出会えたことは、本当に幸運でした。

 ロールモデルやメンターは「探そう」と思って見つかるものではなく、親友との出会いに似ていて、半分は運だと思います。ただし、運だからといって努力が不要ということではありません。「スポーツをしていたから親友に出会えた」「シェイクスピアが好きだったから親友に出会えた」というように、出会う確率を高める「何か」はあるはずです。とはいえ、「一年以内にロールモデルを探す」と手帳に書いて動き回るようなものでもなく、この幸運を一般論にするのは適切ではないと思います。

 

― 若者に対し、どのようなサポートが必要と考えますか?

 留学生を増やしてください」「メンター制度を充実してください」「東京都立大学の前期は教養課程にしてください」と言えば簡単ですが、実際にはそう単純な話ではないと思います。

 むしろ多様なロールモデルを見せてあげることが重要だと思います。私自身、自分の世界が狭かったことは認めなければいけなくて、若い頃は外交官と弁護士にしか関心がなく、その世界しか知りませんでした。例えば、コンサルティング、金融、学術、医療、デザインといった進路がどのような人生につながるのかを理解していなかったのです。

 最近になって、さまざまな分野の方々と出会い、知らなかった世界が確かに存在することを実感しています。もし大学時代に、「職業Aならこういう人に育つ」「職業Bならこういう人に育つ」といった、それぞれの職業が育む価値観やキャラクターについて具体的な姿を見せてもらえていたら、もしかしたら違う人生を選んでいたかもしれません。

 

「自分は何をしたいのか、社会にどんな価値を届けたいのか」
AIを使い倒し、エキサイティングな時代を楽しんでほしい。

― 若者へのメッセージをお願いします。

 AIの登場によって、学び方は大きく変わりつつあります。すべてを一から自分で行う必要はなく、多くの作業をAIに任せることで、アイデアやクリエイティブな活動に集中できるようになりました。これまで私たちの世代が経験やスキルを積むのに10年・20年を要したことも、これからは今すぐ活躍できる時代になると思います。

 ただし、重要なのはAIをどう使いこなすかです。AIの癖を理解し、日々試行錯誤しながら遊ぶように触れてみることが欠かせません。面倒な作業はAIに任せられるからこそ、「自分は何をしたいのか」「社会にどんな価値を届けたいのか」といったアイデアの部分がより問われるようになります。これからの時代は間違いなくエキサイティングです。ぜひAIを積極的に活用し、人生を楽しんでください。

 

インタビュー中の伊藤錬さん

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